【本の要約】『さとりをひらいた犬/刀根 健』ほんとうの自分と自由の見つけ方

さとりをひらいた犬

今の生活に納得いっていないという方や無理やり自分を納得させていると感じる人におすすめの本が『さとりをひらいた犬』です。

本書は猟犬のジョンが主人公の冒険物語です。

冒険を続ける中で様々な動物との対話を通じて我々の人生について考えることができる本になります。

本書を書いた刀根 健さんは2016年にステージ4の肺がんを診断され、脳への転移も見つかり来週には呼吸が止まるかもと言われました。

その後も、 目や、左右の肺、肺~首のリンパ、肝臓、左右の腎臓、脾臓、全身の骨転移し絶望の縁に立たされていました。

そんな中で、『死』や『がん』と向き合い生き方や気付きが深まったそうです。

ただ、今ではガンを奇跡的に克服し、全身からガンが消失したというすごい経歴を持った方です。

そんな死の淵に立った彼だからこそ語ることができる『人生観』を読み解くことができるのが本書『さとりをひらいた犬』です。

物語的にも面白いですし、言葉の端々に重みがあるので読み応えのある作品となっております。

物語のあらすじ

物語は猟犬だったのジョンがあるきっかけでハイランドという場所を見つける冒険の話です。

主人公のジョンはもともとご主人に忠実な優秀な猟犬でした。

ある日、ダルシャという狼と出会い、自分とは?自由とは?という問いかけによって今の飼われている状況を見つめ直します。

仲間の制止を振り切り、ハイランドという場所を目指しながら道中の出会いや気づきによって成長していく物語です。

猟犬のジョン

この物語の主人公は猟犬であるわんこで、名前を「ジョン」といいます。

ジョンは狩猟犬として生まれ、優秀な成績を買われ狩猟犬のリーダーとなっていました。

ご主人からも信頼され、仲間の狩猟犬仲間からも尊敬されるような立派なわんこです。

もちろん食べるのにも困る事は有りませんし、快適に暮らすことができていていました。

ジョンはそんな生活に満足していたのです。

ダルシャとの出会い

そんなある日、狩猟で仕留めた狼、ダルシャが瀕死の状態でジョンに話かけて来ました。

この言葉が我々人間にも響く言葉なので引用させていただきます。

俺たちは誰かに飼われるために、生まれてきたんじゃない。おれたちは本質的に「自由」だ

さとりをひらいた犬

お前さんが生まれた「環境」がたまたまそうだっただけのことだ。

その環境に生まれたから、「それ以外の生き方を知らない」

さとりをひらいた犬

「これが本当の私だ」と、今の自分を一片の疑いもなく、自分という存在に対して胸を張って言い切れるか?

いいか、ジョン、「生存している」と「本当に生きている」とは存在の形態が違うんだ

さとりをひらいた犬

その後、ハイランドという地の存在を伝え、ダルシャは息を引き取りました。

ハイランドとは本当の自分に目覚めたものだけがたどり着くことができる場所です。

ハイランドを目指す

ジョンはそんなダルシャの言葉を胸に秘めながら数週間が立ちました。

相変わらず狩猟を続けているのですがジョンの気持ちは揺れていました。

理由は簡単でダルシャの言葉が胸に残っていたからです。ご褒美の干し肉もご主人の笑顔も嬉しいと感じなくなっていたのです。

そんな中、猟犬仲間で副リーダーのハリーが声をかけてくれました。ジョンはあの日あったことをすべてハリーに話したのです。

ハリーは「やめておけ」という反応でした。「どうしてこの楽で快適な暮らしを捨てる必要があるんだ」とジョンの気持ちに反対したのです。

続けて、「無知は幸福、眠りは至福」。つまり、余計な知識をつければつけるほど不幸になってしまうんだと言いました。

ジョンはそんな言葉を受けたが、「ほんとうの自由」を探すためにハイランドを目指したのです。

恐れを見抜く

出発したジョンはまずダルシャが向かえと言っていたベレン山という山に向かいました。

困難を乗り越えながらやっとの思いでたどり着いたベレン山の麓ではあの山には赤い魔獣といわれる熊がいるという噂を聞きました。

赤い魔獣は人をも恐れず、銃の弾丸を跳ね返すという化け物でした。

ジョンがベレン山を登るとその赤い魔獣と遭遇してしまったのです。

ジョンは赤い魔獣と目が合った瞬間、恐怖におののき足が動かなくなってしまいましたが、必死に奮い立たせてなんとか走り、逃げることができました。

しばらく全速力で走ったあと振り返ると、赤い魔獣も追いかけて来ていない様子でした。

その恐怖があったジョンは5日間も何もできずにいました。

しかしベレン山を超えなければハイランドまで到達できないのでもう一度ベレン山を登る覚悟を決めました。

そして、もう一度山を登っているとまたしても赤い魔獣と遭遇してしまったのです。

またも立ちすくんでいると赤い魔獣は話しかけて来ました。

赤い魔獣は会話の中で『恐怖』について語ってくれます。

お前が最初に来たときに感じた恐怖はお前自身なのだ。お前の内面が鏡となって現実に現れた。

恐怖はお前自身が創り出したものなのだ。

さとりをひらいた犬

恐怖と危険は違う。危険は「いま、ここ」で対処すればいいものだ。

未来を不安視し心の中に創り出す影。それが恐怖だ。

さとりをひらいた犬

ベレン山を超えたジョンは様々な困難や出会いを繰り返しハイランドを目指します。

その後も仲間を見捨てた猟犬ガジョとの出会いや預言者クーヨというネズミと出会ったり、

頂点を目指す者たちシーザーという大きな猟犬グループのリーダーと出会ったり、許しと癒しの女神シャーレーンという馬と出会ったりしてほんとうの自分を探していきます。

イノシシのコウザや老犬レドルクなどと出会いさとりをひらいていくという物語です。

さとりをひらいた犬 図解

本の言いたいこと

本書はわんこの冒険を通じて我々の人生について語りかけてくれます。

著者である刀根健さんがガンからの克服をした際に感じた本当の自分や自由とはなにかという疑問に、ジョンの生き方を通じて我々読者に語りかけているのです。

ダルシャとの出会い・解

まずダルシャとの出会いではジョンの生き方について語りかけています。

ジョンは猟犬という生き方になんの疑問を持ったことも無く、人間に仕え、飼われるために生きて来ました。

我々社会人も、会社に飼われ、皆がそうするからという理由で習慣的・機械的・反応的に生存しているだけの人も多いのではないでしょうか?

そういった心に蓋をして、今の現状に満足していると心に嘘を付き、「本当に生きること」を恐れているのではないでしょうか?

ただ、与えられて環境がそうであったというだけであればもっと魂の声に耳を傾けることも大切なことなのです。

そういった問いかけがダルシャとの出会いに含まれているのでした。

ここでは変化の大切さも言われています。

人生にもっと変化をもたらしたいという人は『チーズはどこへ消えた?』という本もおすすめです。

詳しくは『【本の要約】『チーズはどこへ消えた?』人生に変化を起こそう』を御覧ください。

ハイランドを目指す・解

次に副リーダーのハリーの言葉です。

ハリーはジョンが気持ちのゆらぎに対して「どうしてこの楽で快適な暮らしを捨てる必要があるんだ」と語ってくれました。

これは周囲からの反対の声ですね。

もちろん失敗もありますし、責任も大きくなってしまうでしょう。

しかし、周りからの反対の声があるから本当にやりたいことを我慢していてはそのまま人生が終わってしまいます

本当にやりたいことに挑戦するためにはこういった声をはねのけてでも進めなければいけないことがあるということです。

恐れを見抜く・解

最後に赤い魔物との会話からわかる『恐怖』についてです。

恐怖はお前自身が創り出したものといっていましたね。

恐怖とは奴隷の牢獄とも本書では言われています。

多くの人は自分自身で創り出したその牢獄の中で一生を送ってしまうのです。

会社もそうですし、人間関係やお金に対しても自分で牢獄を作り、その中で文句を言いながらせこせこと生活を続けているのです。

しかし、よくよく考えてみるとその牢獄は自分で創り出した幻に過ぎないこともあるのではないでしょうか?

社会のレールを生きることだけがあなたの人生ではないということを教えてくれているのです。

恐怖が幻であることに気づいた人こそ『ほんとうの自分』を手に入れることができるのです。

まとめ

さとりをひらいた犬の要約をしてきました。

本書は猟犬のジョンが主人公の冒険物語です。

作者である刀根健さんは死の淵に立った彼だからこそ語ることができる『人生観』を読み解くことができる作品となっています。

心に蓋をして、今の現状に満足していると心に嘘を付き、「本当に生きること」を恐れている人も多いでしょう。

本当にやりたいことに挑戦するためにはこういった声をはねのけてでも進めなければいけないことがある。

多くの人は自分自身で創り出したその牢獄の中で一生を送ってしまう。

以上