医療費が高額になったらどうするの?
急な病気や怪我で働けなくなったり、医療費が多くかかってしまったりと不安に感じることが多いのではないでしょうか?
今回はそんな医療費を軽減する国のサービスである高額療養費制度を紹介していきたいと思います。
これを知っていると入るべき保険、入らないでいい保険を自分で選択することが出来ますので民間の保険費を抑えることが出来たり、困ったときに助かったりする事があるでしょう。
この高額療養費制度の他にも傷病手当金や失業保険、障害年金など国が運営するセーフティネットはかなり優秀でもし病気や怪我で働けなくなったりしても国の制度を知っているだけで生活に困窮することというのは少ないです。
ただ、これらの知識は学校では教えてくれませんし社会にでても自分で勉強して行かないと知らないことのほうが多いでしょう。
今回、全部はできませんが今後一つづつ話題として取り上げて行こうと思います。
保険とは?
まず根本的に保険というのは必要な制度です。
保険はみんなでお金を出し合ってその中で不幸にも怪我や病気、死亡など予期せぬ突発的な事象に備えるためにはとても良いサービスです。
保険の性質上、不幸にあたってしまった人が得をすると言う歪なサービス形態から不幸の宝くじと言われることもあります。
つまり、ギャンブルに当たることに重きを置くべきではなく、不幸にならないために保険に入るというのが健全な保険の使い方なのです。
よくこの保険に入ったら得をしたと言う人がいますがこれは本質的ではなくギャンブル的な使い方をしている形になっていますが本来は掛け捨てで病気や怪我にならなかったから良かったねと言うのが保険の正しい使い方なのです。
ではどういった保険に入るといいのかと言うお話ですが基本的には国の運営する保険が土台としてあり、足りない部分を民間の保険で補う形というのがベストであると思います。
これは保険の性質上たくさんの人が支えている方が有利で日本は国民皆保険なので日本国民が全員で支えている国の保険をまず優先するのがとても大切でしょう。
国に頼るのはよくないと言う方もいますがその人も民間の保険会社に頼っているので同じことですし国が破綻したら保証はなくなるんじゃないかという方もいますがその場合民間の保険会社も破綻しています。
また、民間の保険会社は結局は営利企業なので利益を出さないと運営ができないので多めに手数料も取られます。
国の保証では行き届かない場所を民間の保険で補うと保険料も抑えることができ、そのお金をためておくことでいざというときの生活費や治療費に当てることができると言う点もバランスを考えて検討しましょう。
高額療養費制度
公的医療保険
では国が運用するサービスの一つ、高額療養費制度について学んでいきましょう。
まず高額療養費制度の概要についてですが医療にかかった費用は収入によって変わりますが月を平均9万円超えた部分は国が補償してくれるという制度です。
詳しくみていきましょう。
高額医療費制度は社会保険の一つで公的医療保険です。
この制度を使えるのは日本国民全体です。
社会保険には医療保険、年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険などがあります。
その中の医療制度の分類は健康保険、共済組合保険、国民健康保険があります。
これら保険に高額療養費制度を使うことができるのですが国民皆保険なので皆が加入しているのですべての国民がこの高額療養費制度を使うことが出来ます。
健康保険には負担してくれる保証がたくさんあり、有名なのは医療費が3割負担になります。
他にも出産一時金や傷病手当金、出産手当などがあり、知っているだけでいざという時に助けてくれる最強な保険なのです。
これらの保証をベースに考えて自分に足りない部分を民間の保険で補うことで保証を強固にすることができます。
健康保険についてはこちらの記事を読んでみてください
高額療養費制度
では高額療養費制度に話を戻します。
高額療養費制度は医療費が高額になる際は一定の自己負担を超える分を払い戻してくれたり、病院の窓口で割引してくれたりします。
医療費は元々病院の窓口で支払うと3割負担で大丈夫なのですがそのうち9万円を超えた部分を保証してくれます。
例えば手術をして100万円が医療費でかかる場合、3割負担で30万円の支払いになるのですが高額療養費制度を使うことによって9万円にすることができます。
また、かなりまれなケースですが1000万円の医療費がかかる大きな手術をした場合も、保険適応であれば3割負担で300万にでき、高額療養費制度を使えば特例的に18万円程度にすることができます。
このようにある程度貯金をしていれば大きな手術や入院費を捻出することは結構容易なのです。
また、この高額療養費制度では入院時の個室などを希望する場合の差額ベット代や先進医療などでは使うことができません。
ただ個室代はどちらかと言うと贅沢費であり気にする人だけ払って行けばいいですし、先進医療は厚生労働省が治療として認めていないが効果があるかもしれないと言う程度なので従来のやり方のほうが安全性が高いです。
こういった点を考慮しても高額療養費制度を利用して受けられる医療で十分と考える人も多いのではないでしょうか?
上限
ただ先程から9万円と言う話をしていますが上限は年収によって変わります。
年収が370万から770万の中央値付近の人は上限が8万から10万になります。
また住民税非課税世帯は上限が35400円でそこから年収370万円までの人は57600円になります。
また770万円〜1160万円の人は月26万が上限になりますので民間の保険はこの辺ぐらいの年収を稼ぐ人は検討してもいいかもしれません。
また、70歳以上の方や連続して医療費が超える場合は上限を安くできるのでもう少し医療費は抑えることができます。
対象期間
次に高額療養費制度の対象期間ですが1日から末日までで判定されます。
この期間で9万円を超えた分の医療費は払わなくていいということです。
なので高額療養費制度を活用して手術、入院、リハビリまでしたい場合は可能であれば1日に手術をするのが一番オトクです。
1ヶ月で治すことができれば医療費を上限内で抑えることができます。
もしも医療費が30万円かかるとして1日に手術をしてそこから3週間入院が必要でその後1週間リハビリをした場合は30万円が上限の9万円になりますが同じ状況で20日に手術をしてそこから3週間入院した場合、2月跨いでしまうので上限は分散され高額療養費制度を使っても18万円の支払いになったりします。
急ぎの手術でない場合は、医師と相談しお得に立ち回れたりするでしょう。
合算
また、医療機関が別々の場合は合算できない場合がありますので注意しましょう。
一つの医療機関で21000円以上でないと合算ができません。
例えばA病院とB病院があったとしてA病院で診察や簡単な処置をしてもらって2万円になってB病院で手術をして8万円になった場合、A病院で2万1000円を超えていないので合算ができず9万円も超えないのでほぼ全額を支払うことになります。
できるだけ一つの医療機関で済ませるといいということは覚えておきましょう。
限度額認定書
最後に手術や入院が決まったら限度額認定書をもらっておくと手続きがスムーズです。
これは公的医療保険の窓口で受け取ることができる証書でこれを持っていると病院の窓口での支払い時に減額した医療費の支払いだけでよくなります。
通常何も申請していない場合、医療費を一旦全額支払って、この支払った明細書を元に高額療養費制度を申請し超えた部分を還付するという流れになります。
しかし、この際一旦病院の窓口で支払いが発生し返ってくる数ヶ月のタイムラグがあります。
その際本当に返ってくるのか不安で過ごさなければならず精神衛生上あまり良くありません。
そういうのが嫌な場合は手術前や入院前余裕がある場合は限度額認定書をもらっておくと病院の窓口での支払いがその限度額以上に支払う必要がなくなります。
健康保険や国民健康保険、共済保険組合の窓口であらかじめ取得することができるのでこういった制度も活用しておきましょう。
いざという時の『いざ』とは
ちゃんとしたところで働いていれば有給で給料は全額でますし、今度紹介しますがもし有給を使い果たしても健康保険に入っていれば傷病手当金で給料の2/3は国からでます。
もし仕事をやめても会社が雇用保険に入っていれば失業保険を使い50%から80%の給料をもらうことができるのでこの辺の国の保証を使うことによって病気や怪我に対しての保証というのはかなり手厚くなります。
これを知らない人が多いので無駄な民間の保険に入って過剰にリスクに備え、自分の給料限界まで保証を厚くして貯金がたまらず、いざというときに備えなきゃとまた保険に入る負のループになってしまっている人が多いです。
いざというときの保険に自分の首を締められないようにしておくことが保険との正しい付き合い方です。
最初の方にも言いましたが民間の保険は営利目的なので保証が薄いところに使うようにしましょう。
安全というのは思っている以上に高い出費です。そして際限がない負のスパイラルの入り口です。
最高の保険は一番が自分自身が働けることであり、2番目が貯蓄で、3番目に保険という制度です。
『バビロンの大富豪』と言う本の中でもお金の基本は収入の10%を貯蓄に回しいざというときに備えるように書いてあります。
案外、防具で身を固めるよりも身軽で危険から逃げられる方が安全なのかもしれませんよ。
まとめ
医療費が高くなったら国の運営する高額療養費制度を使いましょう。
高額療養費制度とは一定の上限額を支払えばそれ以上の治療費が免除される国の保険です。
年収によって上限は変わりますが大体の人は月に9万円を条件に医療が受けられます。
手術や入院の前に限度額認定書をもらっておくと病院の窓口でこの限度額は適応されます。
最高の保険は一番が自分自身が働けることであり、2番目が貯蓄で三番目に保険という制度です。
以上