論語と算盤
お金は欲しいけど思いやりを持てるような行動がしたい方や新一万円冊の顔になる渋沢栄一という人物について知りたい方は『論語と算盤(ろんごとそろばん)』という本がおすすめです。
本書は2024年度に新一万円札に採用されることが決定している渋沢栄一が書いた代表作です。
渋沢栄一は『資本主義の父』と呼ばれる人物で日本の明治維新後、500社前後の創立や発展に深く携わった人物です。
その中には現在のみずほ銀行や王子製紙、サッポロビール、東京証券取引所、日本赤十字など名だたる企業の創立や公共施設等を立ち上げて来ました。
そんな彼が本書で説く内容と言うのが道徳心を持って商売をしなさいということです。
これは本書のタイトルにもつながってくるのですが論語(ろんご)というのが古代中国の時代から伝わる道徳で算盤(そろばん)というのが商売のことを言います。
本書では道徳と商売の関係性について語っているということです。
企業でもコンプライアンスが重要な今だからこそ読みたい商売や人格形成の指南書となるでしょう。
では本書の内容に入っていきましょう。
処世と信条
まず本書を簡単に言うと道徳心と商売のバランスを整えることでビジネスはうまくいくよという話です。
社会をよくするためや自分自身の自立のために働くことの他にも道徳心が必要不可欠で両方とも大切ということです。
まず本書では社会の豊かさについて書いてあります。
社会が豊かになるために必要なものは道徳と企業の営利活動であると本書では述べられます。
まず企業の営利活動がないと欲しい物が隅々まで行き届かせることができません。
つまり、不便でなんの生産性もない世の中になってしまうということです。
また道徳心を持っていない人が営利活動に走ると暴利を貪るだけの害悪が生まれてしまうのです。
これらの道徳心と営利活動を持ち合わせることを『士魂商才(しこんしょうさい)』と言っています。
これは士魂(しこん)が武士の魂で道徳心を表し、商才(しょうさい)が商売の才覚を表す言葉で、両方同時に持ちましょうということを語っています。。
ただ、本書が発売された当時は武士の魂が強く社会にはびこっていて、『武士は食わねどたかようじ』という言葉の通り貧乏なことが美徳とされ、士魂と商才が混ざり合うことがありませんでした。
そんな社会に一石を投じたの本書であり、著者の渋沢栄一本人でした。
今の時代もお金は汚いものと言う風潮があるのもこれに近い現象であると思います。
ではこの両方を得るには何が必要なのかというと『信用』です。
本書でも
信用は実に資本であって、商売繁盛の根底である
論語と算盤より
とあるようにまずは人格を形成することが大切なのです。
そこで大切なのが論語の考え方なのです。
論語は2500年もの間語り継がれ廃れることのなかった人格形成のもとになるような書物なのです。
7つの習慣という本の中でも人格主義という言葉が何度も出てくるように道徳は何をするにも大切な能力なのでしょう。
7つの習慣も要約しているので読んでみてください。
論語の内容については後で語りたいと思います。
- 論語(ろんご)とは道徳で、算盤(そろばん)とは商売のことを言います。
- この論語と算盤の両方をバランス良く持つことが大切。
- 『武士は食わねどたかようじ』のような偏った考えでは身を滅ぼすことになる。
- 両方を得るために『信頼』が必要で論語を学ぶと信頼の得方がわかる。
仁義と富貴
次に普段の生活はどうするのがいいかについてです。
本書ではお金の使い方について書いてあります。
結論から言うとお金はよく稼ぎ、よく使うことを推奨しています。
ただ、ここで言うよく使うというのは欲望のままに使うのではなく自分の性分にあった使い方をしましょうということです。
借金をしてまで使うわけではないしやりたいことのためには貯めなければ行けないフェーズもあることが理解できればいいでしょう。
本書には『蟹穴主義(かにあなしゅぎ)』という言葉があります。
これはカニが甲羅に似せた穴を掘り身を隠すことから自分の身の丈を守ることと言う意味で使われます。
つまり、自身の収入にあった生活を心がけることが大切で収入を無視した買い物や守銭奴のような倹約をやめてバランスの取れた使い方をしましょうということです。
バビロンの大富豪という本の中でも欲望に優先順位をつけろという言葉あります。
これも蟹穴主義の身の丈を守ることにつながるのだと思います。
バビロンの大富豪についても要約しているので読んでみてください。
最後に渋沢栄一が考える論語について話していきます。
まずは常識人について書かれています。
渋沢栄一は常識人のことを『言動に筋があり、頑固にならず、善悪を見極め、自分や相手の利害を見極め、中立的な立場の人』と表しています。
そして自身がそれを見極める場合、知・仁・勇を用いて判断しましょうとあります。
知は『知恵、判断力』、仁は『思いやり、感情』、勇は『意思、勇気』のことでこれらのバランスで人を判断しようと言うことです。
つまり、人を判断する時は上記のいずれもかけてはならず、例えば知識がなければ論理的にうまく行かず、思いやりがなければ損を被り、意思がなければやらされている感で対処が遅れすべてうまく行かないのです。
人を見るときに参考にしてみるといいでしょう。
最後に習慣についてです。
習慣が人生を作るという言葉があるように良い習慣を身につければいい人生を送ることができます。
このときに大切なことは論語を意識することです。
長いこと習慣にして道徳心を持った行動をすることで信用が溜まっていき、運も周りもどんどん味方してくれるでしょう。
成功や失敗という物事の結果というのはこういった努力の絞りカスのようなものでその道の先にはもっと大切な信頼という価値ある大切な物が手に入るでしょう。
- 自分の身の丈にあったお金の使い方をしましょう。(蟹穴主義)
- 常識人を見極める
- 『知・仁・勇』を判断基準にする。
- 良い習慣を身に着け信頼をためていきましょう。
まとめ
渋沢栄一さんが書いた『論語と算盤』という本の要約をしました。
本書はみずほ銀行やサッポロビールなど500社の企業に携わった渋沢栄一が書いたビジネス書です。
内容は本書のタイトルの通り道徳心と商売のバランスを整えることでビジネスはうまくいくよという話です。
身の丈にあった生活を心掛けたり、常識人を見極めたり、自身の習慣を見直すことで人生が劇的に良くなるでしょう。
信頼を得ることが論語や算盤を語る上で欠かせません。
ー参考図書ー
以上