犬の甘噛みをやめさせる方法は、叩いて止めることではなく、「噛むと楽しい時間が終わる」と伝え、噛んでいいものに切り替えることです。子犬を迎えた飼い主さんから、トリミングの現場でもよく相談をいただきます。この記事では、甘噛みの原因、放置するリスク、今日からできる直し方、NG対応を、図解を交えて解説します。
この記事の結論
- 甘噛みは放置すると、本気噛みや飼い主さんへの依存につながる
- 直し方は「遊ぶのをやめる」「おもちゃで遊ぶ」「怒る(低い声で短く伝える)」の3つ
- 叩く・マズルをつかむ・笑って反応するのはNG

まとめ図解:放置すると本気噛みや依存に発展するので、3つの方法で早めに直しましょう。
犬の甘噛みとは?本気噛みとの違い

甘噛みは、遊び感覚で軽く噛んでくる行動です。体がリラックスしていて、噛む力もやさしいのが特徴です。一方、唸り声が出る、体がこわばる、噛む力が強いといった場合は、遊びではなく本気噛みの可能性があります。本気噛みが続くときは、自己流で対応せず、獣医師やドッグトレーナーに相談してください。
犬が甘噛みをする主な理由
- 歯がムズムズする:生後3〜6か月ごろは乳歯から永久歯への生え変わりの時期で、歯ぐきがむずがゆくなり、噛みたい気持ちが強くなります。
- かまってほしい:噛むと飼い主さんが反応してくれると、「噛めば相手をしてもらえる」と覚えてしまいます。
- 遊び:子犬は、口で周りの物を確かめながら学びます。兄弟犬との遊びの中で、噛む力の加減も覚えていきます。
- 退屈・運動不足・疲れすぎ:エネルギーが余っているときや、疲れて興奮しているときにも、噛む行動は増えます。
甘噛みを放置するとどうなる?

「痛くないからいいか」と放っておくと、大きな問題行動の原因になります。

「噛むとかまってもらえる」「噛むと嫌なことをやめてくれる」と学習したまま成長すると、噛む力は強くなり、成犬になってからの修正が難しくなります。噛めば思いどおりになると覚えた犬は、かまってもらえないと落ち着けなくなるなど、飼い主さんへの依存にもつながります。人に怪我をさせてしまうこともあるため、子犬のうちに「噛んでいいもの」と「噛む力の加減」を教えておくことが大切です。
犬の甘噛みの直し方|3つの方法


直し方1:遊ぶのをやめる
強く噛まれたら、短く「痛い!」と伝えたあと、立ち上がって背を向けるか、部屋を出て20〜30秒ほど相手にしません。かまってほしいのに、噛むと楽しい時間が終わってしまう、と伝わります。子犬が兄弟犬と遊ぶときも、強く噛みすぎると相手が「キャン」と鳴いて遊びが終わるので、その学びを人間が再現するイメージです。このとき、笑顔で接しないのがポイントです。
直し方2:おもちゃで遊ぶ
歯がムズムズして噛みたい時期は、噛むこと自体を止めるのではなく、噛んでいいものを与えます。手や足を噛み始めたら、すぐおもちゃに切り替えて、噛めたらたっぷり褒めましょう。おもちゃは数種類を入れ替えながら使うと、飽きずに続きます。
直し方3:怒る(低い声で短く伝える)
図解の「怒る」は、感情的に怒鳴りつけることではありません。やってはいけないことをしたときに、低い声で短く「NO」「だめ」と伝えるという意味です。長く叱り続けると、犬は「かまってもらえた」と受け取ってしまいます。短く伝えて、すぐおもちゃなどの正しい行動に切り替え、できたら褒めてください。
やってはいけない甘噛みのNG対応
- 叩く、マズルをつかむ、力で押さえつける:信頼関係が崩れ、かえって噛む行動が悪化することがあります。
- 噛まれて笑ったり、大騒ぎしたりする:犬は「遊んでもらえた」と受け取り、噛めば反応がもらえると学習します。
- 長々と叱ったり、追いかけたりする:注目されること自体がごほうびになってしまいます。
- その日の気分で対応を変える:家族全員でルールをそろえることが、一番の近道です。
環境づくりで噛む機会を減らす
家具の脚やスリッパ、コードなど、噛まれたくない物は手の届かない場所に片づけたり、ベビーゲートで立ち入れない場所をつくったりします。噛み癖防止スプレーを使う場合は、犬の安全に配慮した天然由来のものを選びましょう。スプレーだけでは解決しないので、しつけとあわせて使うのが基本です。お散歩や遊びで体力と好奇心を満たし、興奮しすぎたときはハウスで休ませるなど、運動・遊び・休息のリズムを整えることも大切です。
甘噛みがなかなか直らないときは?
歯の生え変わりが終わっても噛む力が強い、唸る、噛んだあとに興奮が収まらないといった場合は、痛みや体調の問題が隠れていることもあります。まずは動物病院で相談し、必要に応じてドッグトレーナーの力を借りましょう。犬の幼稚園やしつけ教室など、ほかの犬と触れ合う機会も、噛む力の加減を学ぶ助けになります。
甘噛みについてのよくある質問
Q. 甘噛みはいつまで続きますか?
個体差があります。歯の生え変わりの時期(生後3〜6か月ごろ)に増えやすく、その後は落ち着く子も多いですが、「噛むと反応がもらえる」と覚えてしまうと続くことがあります。時期にかかわらず、早めに教えるのが近道です。
Q. 成犬になってからでも直せますか?
同じ方法(遊ぶのをやめる、おもちゃに切り替える、短く伝える)で改善を目指せますが、習慣になっている分、時間がかかります。力が強い場合や本気噛みが混ざる場合は、獣医師やドッグトレーナーに相談してください。
Q. 噛まれたとき、叱ってもいいですか?
大声で長く叱るのは避けましょう。低い声で短く「だめ」と伝え、すぐおもちゃに切り替えて、できたら褒めるのが基本です。叩く、マズルをつかむといった対応はNGです。
Q. トリミング中に噛むのですが?
爪切りやブラッシング、ドライヤーの最中に口が出てしまう子も少なくありません。無理に押さえつけず、短い時間から少しずつ慣らし、できたらしっかり褒めることが大切です。当店でも、そのように慣らしながら進めています。
あわせて読みたい|しつけの基本シリーズ
- わんこのしつけ基本の『き』:まず押さえたいしつけの土台
- しつけ完全攻略 おすわり編:基本のコマンドの教え方
- しつけ完全攻略 まて編:興奮を落ち着かせる練習
- しつけ完全攻略 ハウス編:休む場所を覚えてもらう方法
まとめ
- 甘噛みは放置すると、本気噛みや飼い主さんへの依存につながる
- 直し方は「遊ぶのをやめる」「おもちゃで遊ぶ」「怒る(低い声で短く伝える)」の3つ
- 叩く・マズルをつかむ・笑って反応するのはNG。家族でルールをそろえる
- 運動・遊び・休息のリズムと、環境づくりもあわせて整える
- 本気噛みや直らない場合は、獣医師・ドッグトレーナーに相談する
宮古島でのトリミングや、愛犬のお手入れ・しつけのご相談は、ドッグサロンてぃーつりーへお気軽にどうぞ。トリマー歴12年の店主が、愛犬の様子を見ながらご相談に応じます。

